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44.竹河(たけかは)

この帖は、薫君の中将時代十五歳から二十三歳までの物語。

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この概要からして戸惑う。薫君は、既に匂兵部卿巻二章五段に「十九になりたまふ年、三位の宰相にて、なほ中将も離れず」と語られていた。尤も、同巻二章一段に「十四にて、二月に侍従になりたまふ。秋、右近中将になりて、御たうばりの加階などをさへ、いづこの心もとなきにか、急ぎ加へておとなびさせたまふ」とあり、匂兵部卿巻二章は薫君が冷泉院から格別の厚遇を受けて出世した沿革みたいな話で、あまりにも肉付けが無いまま時間が早く経過して、幻巻までの話との連続性が掴めずに分かり難い、と言うよりも、全く別の物語のようでさえあって、とにかく馴染み難かった。その意味では、当巻はちょうどその間の肉付けが此処に語られそうに思えて期待したい。とは思うものの、となると前巻の紅梅巻の年立てが如何にも不案内で、当巻の内容次第では登場人物の想定年齢を見直さなければならないかと、物語全体の構成把握にますます混乱を覚える。

[主要登場人物]

01.<かおる>、光君の子、女三の宮腹の若君15、侍従・源侍従の君・四位の侍従・薫中将・宰相中将・中納言・源中納言。

02.匂宮<におうのみや>、今上帝の第三親王16、兵部卿宮・宮。

03.夕霧<ゆうぎり>、光君の長男、源殿41、右大臣・右の大殿・左大臣・左の大殿。

04.紅梅大納言<こうばいのだいなごん>、故致仕大臣の二男、故柏木の弟、藤殿47、大納言・藤大納言・大納言殿・大臣・大臣殿。

05.蔵人少将<くろうどのしょうしょう>、夕霧の子20、蔵人少将・少将・三位中将・宰相中将。

06.左近中将<さこんのちゅうじょう>、鬚黒の三男、玉鬘腹25、中将・中将の君・右兵衛督。

07.右中弁<うちゅうべん>、鬚黒の四男、玉鬘腹24、弁の君・右大弁。

08.藤侍従<とうじじゅう>、鬚黒の五男、玉鬘腹、侍従の君・主人の侍従・頭中将。

09.大君<おおいきみ>、鬚黒の玉鬘腹長女16、姫君・姉君・御息所。

10.中君<なかのきみ>、鬚黒の玉鬘腹二女15()、若君・右の姫君・中の姫君・尚侍・内裏の君。

11.真木柱<まきばしら>、鬚黒の王家腹娘、祖父の式部卿宮家の養女、蛍兵部卿宮未亡人、藤殿の北の方38、北の方・真木柱の君。

12.藤中納言<とうちゅうなごん>、鬚黒の長男、王家腹35歳。

13.玉鬘<たまかずら>、鬚黒大将未亡人48、尚侍・尚侍君・尚侍の殿・前の尚侍君・大上。

14.冷泉院<れいぜいいん>、桐壺帝の皇子44、冷泉院の帝・院・帝・院の上・上。

15.秋好中宮<あきこのむちゅうぐう>、冷泉院の后53、后。

16.弘徽殿女御<こうきでんのにょうご>、女一の宮の母女御45、女御。

17.今上帝<きんじょうてい>、朱雀院の皇子36、内裏。

18.東宮<とうぐう>、今上帝の第一親王22、春宮。

 

第一章 鬚黒一族の物語 玉鬘と姫君たち

[第一段 鬚黒没後の玉鬘と子女たち]

[第二段 玉鬘の姫君たちへの縁談]

[第三段 夕霧の息子蔵人少将の求婚]

[第四段 薫君、玉鬘邸に出入りす]

 

第二章 玉鬘邸の物語 梅と桜の季節の物語

[第一段 正月、夕霧、玉鬘邸に年賀に参上]

[第二段 薫君、玉鬘邸に年賀に参上]

[第三段 梅の花盛りに、薫君、玉鬘邸を訪問]

[第四段 得意の薫君と嘆きの蔵人少将]

[第五段 三月、花盛りの玉鬘邸の姫君たち]

[第六段 玉鬘の大君、冷泉院に参院の話]

[第七段 蔵人少将、姫君たちを垣間見る]

[第八段 姫君たち、桜花を惜しむ和歌を詠む]

 

第三章 玉鬘の大君の物語 冷泉院に参院

[第一段 大君、冷泉院に参院決定]

[第二段 蔵人少将、藤侍従を訪問]

[第三段 四月一日、蔵人少将、玉鬘へ和歌を贈る]

[第四段 四月九日、大君、冷泉院に参院]

[第五段 蔵人少将、大君と和歌を贈答]

[第六段 冷泉院における大君と薫君]

[第七段 失意の蔵人少将と大君のその後]

 

第四章 玉鬘の物語 玉鬘の姫君たちの物語

[第一段 正月、男踏歌、冷泉院に回る]

[第二段 翌日、冷泉院、薫を召す]

[第三段 四月、大君に女宮誕生]

[第四段 玉鬘、夕霧へ手紙を贈る]

[第五段 玉鬘、出家を断念]

[第六段 大君、男御子を出産]

[第七段 求婚者たちのその後]

 

第五章 薫君の物語 人びとの昇進後の物語

[第一段 薫、玉鬘邸に昇進の挨拶に参上]

[第二段 薫、玉鬘と対面しての感想]

[第三段 右大臣家の大饗]

[第四段 宰相中将、玉鬘邸を訪問]

 

 

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