源氏物語ノート】【前巻】【次巻

 

29.行幸(みゆき)

「みゆき」は<行くことを敬っていう語。特に、天皇の外出をいう。行幸(ぎょうこう)。古くは、上皇・法皇・女院にもいったが、のちに御幸(ごこう)と音読して区別した。>と大辞泉にある。初音巻で明けたこの年は、胡蝶巻で遅めの晩春花見が描かれ、対の山吹姫を諸侯に本格的に披露する運びとなり、蛍巻では源氏殿が兵部卿宮を唆して山吹姫に近づけて戯れる様子や、端午の節句の夏の風情が語られ、常夏巻で近江君の登場を見て機運の動きが仄めかされ、篝火巻でそれでも山吹姫を諦め切れない殿の未練の秋となり、野分巻の八月の嵐で中将君の存在感が増す時代の変化が示され、ついにこの冬の年末に帝の御出座しを以って一年の締め括りを見るとすれば、事態の収まる形が示されるのかも知れない。この帖は、光る源氏の太政大臣時代三十六歳十二月から三十七歳二月までの物語。

[主要登場人物]

01.      光る源氏<ひかるげんじ>、三十六歳から三十七歳、源氏の大臣・太政大臣・六条院・

六条の大臣・六条殿・主人の大臣・大臣・大臣の君・殿。

02.夕霧<ゆうぎり>、光る源氏の長男15、中将の君・中将・中将の朝臣。

03.玉鬘<たまかづら>、藤原三姫ただし歳では一姫22、西の対・西の対の姫君・姫君。

04.内大臣<ないだいじん>、藤原殿42()、父大臣・内の大臣・内の大殿・大臣・殿。

05.雲井雁<くもいのかり>、藤原二姫ただし歳では三姫17、姫君。

06.柏木<かしわぎ>、藤原氏長男21歳()、中将・中将の君。

07.紫の上<むらさきのうえ>、源氏殿正妻28、南の上・上。

08.弘徽殿女御<こきでんのにょうご>、藤原一姫ただし歳では二姫19、女御・女御殿。

09.冷泉帝<れいぜいてい>18、帝・主上・内裏。

10.秋好中宮<あきこのむちゅうぐう>27、中宮。

11.鬚黒大将<ひげくろだいしょう>、藤原右家32、右大将。

12.蛍兵部卿宮<ほたるひょうぶきょうのみや>33()、弟宮、兵部卿宮。

13.末摘花<すえつむはな>40()、常陸の宮の御方。

14.近江の君<おうみのきみ>、藤原四姫16()、君。

 

第一章 玉鬘の物語 冷泉帝の大原野行幸

[第一段 大原野行幸]

[第二段 玉鬘、行幸を見物]

[第三段 行幸、大原野に到着]

[第四段 源氏、玉鬘に宮仕えを勧める]

[第五段 玉鬘、裳着の準備]

 

第二章 光源氏の物語 大宮に玉鬘の事を語る

[第一段 源氏、三条宮を訪問]

[第二段 源氏と大宮との対話]

[第三段 源氏、大宮に玉鬘を語る]

[第四段 大宮、内大臣を招く]

[第五段 内大臣、三条宮邸に参上]

[第六段 源氏、内大臣と対面]

[第七段 源氏、内大臣、三条宮邸を辞去]

 

第三章 玉鬘の物語 裳着の物語

[第一段 内大臣、源氏の意向に従う]

[第二段 二月十六日、玉鬘の裳着の儀]

[第三段 玉鬘の裳着への祝儀の品々]

[第四段 内大臣、腰結に役を勤める]

[第五段 祝賀者、多数参上]

[第六段 近江の君、玉鬘を羨む]

[第七段 内大臣、近江の君を愚弄]

 

 

inserted by FC2 system