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23.初音(はつね)

 

「初音」は<ウグイス・ホトトギスなどが、その年初めて鳴く声。>と古語辞典にある。実際はそうした鳴き声を新年の知らせと話題にしようとする者が、その年初めて聞いたか聞いたことにした鳴き声なのだろう。またその「はつね」はそもそもが、干支で日にちを表す暦に於いて<その月の初めの子()の日>をいう「初子」に掛けた言い方のようだ。その「初子」も<特に正月の最初の子の日をいう>とある。辞書には<上代には、正月の初子に朝廷は宴や行幸を行い、庶民は小松を引き若菜を摘んだ>と説明されている。「子の日の小松引き」は常緑の松の針葉を引き抜いて飾りにしたり、その若芽を食べたりして繁栄と健康を願う風習や遊びのことらしく、今の松飾りに通じるとの説明もある。源氏大臣にとって「若芽」と「繁栄」が意味する処は<明石若君の入内の願い>に他ならない。この帖は、光る源氏の太政大臣時代三十六歳の新春正月の物語。

 

[主要登場人物]

01.光る源氏<ひかるげんじ>36、大臣の君・大臣・殿。

02.夕霧<ゆうぎり>、光る源氏の長男15、殿の中将の君・中将の君・中将。

03.紫の上<むらさきのうえ>、源氏の正妻28、上。

04.玉鬘<たまかづら>、内大臣の娘22、西の対の姫君。

05.内大臣<ないだいじん>、藤原大臣42()、内の大臣。

06.花散里<はなちるさと>40歳代()、夏の町の御方。

07.明石の御方<あかしのおほんかた>、冬の町の御方31()、明石の御方・北のおとど。

08.末摘花<すえつむはな>40歳前後()、常陸宮の御方の娘。

09.冷泉帝<れいぜいてい>18、内裏。

 

第一章 光る源氏の物語 新春の六条院の女性たち

[第一段 春の御殿の紫の上の周辺]

[第二段 明石姫君、実母と和歌を贈答]

[第三段 夏の御殿の花散里を訪問]

[第四段 続いて玉鬘を訪問]

[第五段 冬の御殿の明石御方に泊まる]

[第六段 六条院の正月二日の臨時客]

第二章 光る源氏の物語 二条東院の女性たちの物語

[第一段 二条東院の末摘花を訪問]

[第二段 続いて空蝉を訪問]

 

第三章 光る源氏の物語 男踏歌

[第一段 男踏歌、六条院に回り来る]

[第二段 源氏、踏歌の後宴を計画す]

 

 

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