5.若紫(わかむらさき)
若紫はムラサキグサ、ムラサキという野草の異名、とのこと。ムラサキは専ら其の根を紫色の染料に用いた。また同根は解熱剤、解毒剤、傷薬などの漢方薬でもある、という。草丈は30〜60センチメートル、夏にウメに似た小さな花をつけ、武蔵野の名産だったらしいが、近年では全国的に野生は疎か、栽培も殆んどされていない、という。この帖は、光る源氏の十八歳春三月晦日から冬十月までの物語。
[主要登場人物]
01.光る源氏(ひかるげんじ)、十八歳 参議兼近衛中将、君・源氏の中将・光る源氏・源氏の君・中将の君・男君。
02.藤壺の宮(ふじつぼのみや)、光る源氏の継母、宮・女宮、父桐壺帝の妃。
03.紫の上(むらさきのうえ)、兵部卿宮の娘、藤壺宮の姪、若草・若君・初草・君。
04.尼君(あまぎみ)、紫の上の祖母、尼・北の方・祖母上・故尼君。
05.僧都(そうず)、紫の上の祖母の兄、なにがし僧都・僧都。
06.王命婦(おうみょうぶ)、藤壺宮の女房、命婦の君・命婦。
07.左大臣(さだいじん)、源氏の岳父、大殿・大臣。
08.葵の上(あおいのうえ)、源氏の正妻、左大臣家の宮腹の姫君、女君。
09.頭中将(とうのちゅうじょう)、葵の上の兄、左大臣家の宮腹の殿君、右大臣家の婿殿。
10.兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)、紫の上の父、藤壺女御の兄、親王・宮・父宮。
11.惟光(これみつ)、源氏の乳母子、源氏の側用人、惟光・大夫。
12.良清(よしきよ)、播磨守の子。
第一章 紫上の物語 若紫の君登場、三月晦日から初夏四月までの物語
[第一段 三月晦日、加持祈祷のため、北山に出向く]
[第二段 山の景色や地方の話に気を紛らす]
[第三段 源氏、若紫の君を発見す]
[第四段 若紫の君の素性を聞く]
[第五段 翌日、迎えの人々と共に帰京]
[第六段 内裏と左大臣邸に参る]
[第七段 北山へ手紙を贈る]
[第一段 夏四月の短夜の密通事件]
[第二段 妊娠三月となる]
[第三段 初秋七月に藤壺宮中に戻る]
第三章 紫上の物語(2)若紫の君、源氏の二条院邸に盗み出される物語
[第一段 紫の君、六条京極の邸に戻る]
[第二段 尼君死去し寂寥と孤独の日々]
[第三段 源氏、紫の君を盗み取る]