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3.空蝉(うつせみ)

　空蝉はセミの脱け殻のこと。形だけで中身の無いことから、世のはかなさを喩えとなるものとされる。ところが｢うつせみ｣とは、元々は｢現し身うつしみ｣のことで逆に、生身の人間、の事だという。また｢うつし｣は｢移し｣であり｢映し｣でもある。謎仕掛けで多元的な言葉。この帖は帚木に続いて、光る源氏が十七歳夏の参議(宰相)兼近衛中将時代の物語。

[主要登場人物]

01.光る源氏(ひかるげんじ)、主人公、十七歳　参議兼近衛中将、君。

02.空蝉(うつせみ)、小君の姉。伊予介の後妻、紀伊守の継母、

いもうとの君・女・姉君、故中納言兼衛門督の娘。

03.軒端荻(のきばのおぎ)、伊予介の娘、紀伊守と兄妹、

西の御方・紀伊守の妹・碁打ちつる君・西の君。

04.小君(こぎみ)、故中納言兼衛門督の子、空蝉の弟、若君・小さき上人。

第一章　光る源氏十七歳夏の物（PDF）

[第一段　空蝉の物語]

[第二段　源氏、再度、紀伊守邸へ]

[第三段　空蝉と軒端荻、碁を打つ]

[第四段　空蝉逃れ、源氏、軒端荻と契る]

[第五段　源氏、空蝉の脱ぎ捨てた衣を持って帰る]