34.若菜上(わかなのじゃう)
「若菜」は大辞林に<正月、初の子(ね)の日(後には七日)に、摘んで食べたり贈ったりする草。春の七草の総称。平安時代、宮中で邪気を払い、万病を除くという七種の野草を摘み、内膳司から羹(あつもの、煮物)にして献上した行事が民間に広まったもの。[季]新年。>とある。「七種粥」は<正月七日に春の七草を入れて炊(た)いた粥。のちには、薺(なずな)またはあぶら菜だけを用いるようにもなった。菜粥。薺粥。[季]新年。>とあり、また<正月一五日に米・小豆・粟(あわ)など七種の穀物を入れて炊いた粥。後世には小豆だけを入れた「小豆粥」になった。《七種粥》>ともある。なお、「春の七草」は<せり、なずな、ごぎょう(母子草)、はこべら、ほとけのざ、すずな(蕪)、すずしろ(大根)>で、この内「ほとけのざ」は今で言う<ホトケノザ(シソ科)>ではなく<タビラコ(キク科)>とのこと。この帖は、光る源氏の准太上天皇時代三十九歳暮から四十一歳三月までの物語。
[主要登場人物]
01.光る源氏<ひかるげんじ>、源氏殿39歳、六条院・六条の大臣・主人の院・大殿・大殿の君。
02.朱雀院<すざくいん>、源氏の兄42歳、
朱雀院の帝・院の帝・一の院・主人の院・父帝・帝・主上。
03.女三の宮<おんなさんのみや>、朱雀院の第三内親王13歳、
三の宮・内親王・姫宮・女宮・宮・姫宮の御方・宮の御方・御方。
04.柏木<かしわぎ>、太政大臣の長男、藤原君24歳(推)、
右衛門督・衛門督・衛門督の君・督の君・宰相の君。
05.夕霧<ゆうぎり>、光る源氏の長男、源君18歳、
中納言・中納言の朝臣・権中納言の朝臣・中納言の君・大将・大将の君。
06.雲居雁<くもいのかり>、夕霧の北の方20歳、三条の北の方・北の方・女君。
07.太政大臣<だじょうだいじん>、藤原殿45歳(推)、太政大臣・太政大臣君・父大臣・大臣・大殿。
08.紫の上<むらさきのうえ>、源氏の妻31歳、対の上・北の政所・紫・対・女君・御方。
09.花散里<はなちるさと>、源氏殿側室40歳代半ば(推)、上。
10.朧月夜の君<おぼろづきよのきみ>、朱雀院側室30歳代半ば(推)、内侍の尚君・尚侍の君・女君。
11.秋好中宮<あきこのむちゅうぐう>、梅壺30歳、中宮・后の宮・宮。
12.冷泉帝<れいぜいてい>、21歳、朝廷・帝・内裏。
13.明石の尼君<あかしのあまぎみ>、65歳、大尼君。
14.明石御方<あかしのおおんかた>、34歳(推)、明石の御方・祖母君・母君・御方・君。
15.明石女御<あかしのにょうご>、源氏の娘11歳、
桐壺の御方・淑景舎・女御の君・春宮の御方・女御・桐壺・若君・君。
16.東宮<とうぐう>、朱雀院の御子13歳、春宮・宮。
17.玉鬘<たまかずら>、藤原殿の娘、、鬚黒の北の方25歳、尚侍の君・北の方。
18.蛍兵部卿宮<ほたるひょうぶきょうのみや>、36歳(推)、蛍兵部卿宮・親王・宮。
[第一段 朱雀院、女三の宮の将来を案じる]
[第二段 東宮、父朱雀院を見舞う]
[第三段 源氏の使者夕霧、朱雀院を見舞う]
[第四段 夕霧、源氏の言葉を言上す]
[第五段 朱雀院の夕霧評]
[第六段 女三の宮の乳母、源氏を推薦]
[第一段 乳母と兄左中弁との相談]
[第二段 乳母、左中弁の意見を朱雀院に言上]
[第三段 朱雀院、内親王の結婚を苦慮]
[第四段 朱雀院、婿候補者を批評]
[第五段 婿候補者たちの動静]
[第六段 夕霧の心中]
[第七段 朱雀院、使者を源氏のもとに遣わす]
[第八段 源氏、承諾の意向を示す]
[第一段 歳末、女三の宮の裳着催す]
[第二段 秋好中宮、櫛を贈る]
[第三段 朱雀院、出家す]
[第四段 源氏、朱雀院を見舞う]
[第五段 朱雀院と源氏、親しく語り合う]
[第六段 内親王の結婚の必要性を説く]
[第七段 源氏、結婚を承諾]
[第八段 朱雀院の饗宴]
[第一段 源氏、結婚承諾を煩悶す]
[第二段 源氏、紫の上に打ち明ける]
[第三段 紫の上の心中]
[第一段 玉鬘、源氏に若菜を献ず]
[第二段 源氏、玉鬘と対面]
[第三段 源氏、玉鬘と和歌を唱和]
[第四段 管弦の遊び催す]
[第五段 暁に玉鬘帰る]
[第一段 女三の宮、六条院に降嫁]
[第二段 結婚の儀盛大に催さる]
[第三段 源氏、結婚を後悔]
[第四段 紫の上、眠れぬ夜を過ごす]
[第五段 六条院の女たち、紫の上に同情]
[第六段 源氏、夢に紫の上を見る]
[第七段 源氏、女三の宮と和歌を贈答]
[第八段 源氏、昼に宮の方に出向く]
[第九段 朱雀院、紫の上に手紙を贈る]
[第一段 源氏、朧月夜に今なお執心]
[第二段 和泉前司に手引きを依頼]
[第三段 紫の上に虚偽を言って出かける]
[第四段 源氏、朧月夜を訪問]
[第五段 朧月夜と一夜を過ごす]
[第六段 源氏、和歌を詠み交して出る]
[第七段 源氏、自邸に帰る]
[第一段 明石姫君、懐妊して退出]
[第二段 紫の上、女三の宮に挨拶を申し出る]
[第三段 紫の上の手習い歌]
[第四段 紫の上、女三の宮と対面]
[第五段 世間の噂、静まる]
第九章 光る源氏の物語 紫の上と秋好中宮、源氏の四十賀を祝う
[第一段 紫の上、薬師仏供養]
[第二段 精進落としの宴]
[第三段 舞楽を演奏す]
[第四段 宴の後の寂寥]
[第五段 秋好中宮の奈良・京の御寺に祈祷]
[第六段 中宮主催の饗宴]
[第七段 勅命による夕霧の饗宴]
[第八段 舞楽を演奏す]
[第九段 饗宴の後の感懐]
[第一段 明石女御、産期近づく]
[第二段 大尼君、孫の女御に昔を語る]
[第三段 明石御方、母尼君をたしなめる]
[第四段 明石女三代の和歌唱和]
[第五段 三月十日過ぎに男御子誕生]
[第六段 帝の七夜の産養]
[第七段 紫の上と明石御方の仲]
[第一段 明石入道、手紙を贈る]
[第二段 入道の手紙]
[第三段 手紙の追伸]
[第四段 使者の話]
[第五段 明石御方、手紙を見る]
[第六段 尼君と御方の感懐]
[第七段 御方、部屋に戻る]
[第一段 東宮からのお召しの催促]
[第二段 明石女御、手紙を見る]
[第三段 源氏、女御の部屋に来る]
[第四段 源氏、手紙を見る]
[第五段 源氏の感想]
[第六段 源氏、紫の上の恩を説く]
[第七段 明石御方、卑下す]
[第八段 明石御方、宿世を思う]
[第一段 夕霧の女三の宮への思い]
[第二段 夕霧、女三の宮を他の女性と比較]
[第三段 柏木、女三の宮に執心]
[第四段 柏木ら東町に集い遊ぶ]
[第五段 南町で蹴鞠を催す]
[第六段 女三の宮たちも見物す]
[第七段 唐猫、御簾を引き開ける]
[第八段 柏木、女三の宮を垣間見る]
[第九段 夕霧、事態を憂慮す]
[第一段 蹴鞠の後の酒宴]
[第二段 源氏の昔語り]
[第三段 柏木と夕霧、同車して帰る]
[第四段 柏木、小侍従に手紙を送る]
[第五段 女三の宮、柏木の手紙を見る]